freeeについて
2019-05-27

freeeのアクセシビリティ。できないことができる世の中に ー freeeエンジニア・ymrl、nakaneインタビュー

こんにちは、採用広報の西木です。
freeeではアクセシビリティの向上に取り組んでいます。
アクセシビリティとは、あるサービスや製品などを「どんな人でも、どんな環境でも利用しやすいかどうか」を示す度合いのことで、高い・低いで表します。アクセシビリティが高いものは障害者や高齢者も使うことが可能で、一般の人が一時的障害(メガネがない・骨折した・屋外でスマホが見づらいなどの突発的な事象)時にも使えるものも含みます。

今回はアクセシビリティに取り組む2人のエンジニア、ymrlとnakaneにインタビューを行いました。

(撮影:一居 武(Takeru Ichii))

【左】 ymrl(Rei Yamamoto)
1988年生まれ。慶應SFC修士課程修了後、ゲームベンチャー企業を経てfreeeに転職。UIやフロントエンドが専門のはずだったのに、気がつくとフルスタックRailsエンジニアになっていた。Webサービス「このまま眠りつづけて死ぬ」の作者でもある。

【右】 Masafumi Nakane
慶應SFC修士課程修了。現在freee社員として勤務する傍ら、アクセシビリティー関連を中心とした案件に取り組む個人事業主としても活動。freeeでは「人事労務freee」のアクセシビリティの改善や、新しく作っているデザインシステムのキーボード操作の仕様レビューなどを行っている。また社内向けにアクセシビリティの概念の普及活動や、スクリーンリーダーの利用デモなどを開催中。4年前から個人事業主として「会計freee」を利用していたが、当時はアクセシブルではなく、色々と文句があった。


ーアクセシビリティとは何か、少し詳しく教えてください。

ymrl:例えばマウスの操作ができないと使えない機能があると、手が不自由でマウスが使えない人は利用が難しい。モノを作る側の人は「使いやすいもの」を考えるけど、それって実をいうと「障害がない状態で使いやすいもの」になっている事が多いんです。条件が揃っていないと使えないというのは、限られた人に対する工夫でしかないんですよね。
でも割と、ちょっとしたポイントに気を付けると使える人が増えたりするんです。今、そういうことに取り組んでいます。

nakane:具体的に言うと、手始めに、画面の数が少ない「人事労務freee」で徐々に機能を改善しています。僕にとって使いづらいなとか、使えなさそうだなってところを見つけたら、ちまちまと直していますね。

ー社内での取り組みについて、さらに詳しく教えてください?

nakane:まず、一般論として、視覚障害者の多くはスクリーンリーダーと呼ばれるソフトウェアを活用してパソコンを操作します。スクリーンリーダーは画面の表示内容を文字情報を中心に音声で読み上げたり、点字ディスプレイと呼ばれる装置に点字で出力したりする機能があるソフトウェアで、音声と点字の両方を使っている人もいますし、どちらか一方だけを使っている人もいます。
僕の場合はこんな感じで、キーボードと点字ディスプレイで操作しています。画面は見ないので、ずっと閉じてるから最初は驚かれますね(笑)もちろん中はスリープしない設定になってます。

(nakane、PC使用中)

スクリーンリーダーは、画面上の文字は読み取れるけどイラストやアイコンで表現されたところは読み取ってくれないんです。そこにコーディングで、例えばフロッピーマークのところに「保存」って書いて初めて認識されるんです。

ymrl:見えている人にとっては「フロッピーの絵をがあったら保存」だし、「プリンターの絵があったら印刷」ってすぐわかるけれど、文字情報に頼っている人はそれがなんなのかわからない。
そこで僕がやってるのは、コーディングされたものを最初から部品として用意するということ。すごく雑に言うと「コピペしてこの通りに使ってくれれば、アクセシビリティは担保されます」っていうUIの部品です。エンジニアがそこまで意識しなくても、簡単に置けて、中にテキスト入れたらアクセシビリティが勝手に担保されてる状態を作りたくて。

ーそれによって人事労務freeeは使いやすくなりましたか?

nakane:だいぶ使いやすくなってると思います。

ーこういう場所に、こういうものを挿しこもうっていうのは、freeeでは共通認識となっているんですか?

ymrl:それがまだ難しくて。みんな興味は持つし、大事ってのはわかっているんですけど、いざ何をしたら使えるようになるのか、何ができていないのかっていうのが共有できていない。
そこでまず、nakaneさんがどのようにパソコンを使っているかデモを行い、40人ほどの社員に見てもらいました。

nakane:僕が「あるECサイトで洗濯機を検索して、決めた型番で一番安いものを選んで、買い物かごに入れて、決済の直前まで行う」というものです。「ここにアイコンAがあるから、隣にはアイコンBがあるはず」などの、テクニックを言いながらやりました。スクリーンリーダーの読み上げと僕の聞き取りが超高速なんで、皆さんびっくりしてました。

ymrl:で、そのサイトが意外とアクセシビリティが低くて(笑)

nakane:使いづらかったです。

ー使いづらいサイトはどうしてるんですか?

nakane:離脱です。もう使わないって決める。時間の無駄です(笑)

ymrl:昔に聞いたnakaneさんの話で印象に残ってるのが、「視覚障害者は通帳を読めない、自分の給与明細も読めない、自分の資産に関するものを読んでもらうのは苦痛」だと言っていたことですね。

nakane:freee入社以前、人事労務freeeを使い始める前は、今月自分がいくらもらったか、経理に聞くか、誰かに読んでもらうか、労務の担当者が気を聞かせてメールしてくれるかしかなかったんです。世の中には社内システムで見られるようにしている企業もけっこうあると思うんですけど、すごい使いにくいPDFでしか見えないとか、そういうのが多くて。人事労務freeeの場合はそこはクリアできてますね。

ymrl:逆に、小さい会社だと社内システムを導入しているところって実は少ないんですよ。給与計算のソフトウェアって値段が高くて。でも結局はエクセルでなんとかなっちゃう。だからそういう意味で、より簡単で、間違いも少なくて、アクセシビリティも高い「人事労務freee」を広められたらいいなって思います。

nakane:今は年末調整機能は、かなりよくなりましたね。去年も問題なく出来ました。みんなが必ず使うものから改善しているんですけど、「人事労務freee」のアクセシビリティがさらに向上すれば、勤怠を集計して給与明細作成まで、もはや目が見えている必要はないですね(笑)

ー目が見えてる必要ないってけっこうな発言ですよ(笑)

nakane:誰だそんな乱暴なこと言ってるのは!

ーあんたや!

ーnakaneさんの場合、ボタンにテキストさえついていれば問題ないんですか?

nakane:とも限らないんですよ。昔だったらテキストが貼ってあれば、7〜8割は解決したと思うんです。でも今は、5割ですね。というのも、最近は、例えば画像やデータがリアルタイムでみるたびに変わったり、動的に更新されるページが増えています。一見便利に思いますけど、スクリーンリーダーを使っていれば、いつ変わったのか、どこが変わったのかわからないということが起こりがちなんです。
もっと言うと、押せば開いたり閉じたりするメニューだと、意識してコーディングしていると大丈夫なんですけど、何も考えないで作っていると全然わからない。

ymrl:実は「会計freee」がその複雑なwebの最たるものなんで、考えながら取り組んでます。nakaneさんはかなりITリテラシーがあるので、PCでダメならモバイルでとか、臨機応変に対応できてしまいますが、視覚障害者に関して言えば、まずnakaneさんが使えないとおそらく誰も使えないですね。だからfreeeのエンジニアの最初の目標は、まずはnakaneさんが使えるようになること。それをクリアしたら、ITリテラシーがそこまで高くない人でも使えるように持っていきたいです。

nakane:もともと僕は入社前から会計freeeを使っていたので、なんとかしたいって思いが強いです。開発の仕方で上手くやれる手法が次第に確立されてきているので、どんどんfreeeに取り入れようと言う状況です。

ー会計freeeユーザーであったnakaneさんが、freee社員になるまでの経緯を教えてください。

ymrl:以前からアクセシビリティに取り組んでた社員の伊原さんが、実はnakaneさんと知り合いで、フィードバックをしてもらおうと「freeeのプロダクトをダメ出ししてもらう会」を開催しました。当日、雪だったので来れなかったんですが、ハングアウトでとにかく使いづらいところを全部言ってもらいました。

nakane:具体的には、以前の会計freeeで請求書を発行する画面があって、そこは「発行」「コピー」「削除」「メールに添付」などテキストの付いているボタンがずらーっと並んでいたんです。それが一度UIがリニューアルされたら使えなくなってしまいました。僕は請求書を発行済みのものと同じ内容で作りたくて、コピーをしたかったんですけど、どのボタンがコピーかわからないから、片っ端から推していくしかなかった。でもそうしたら「削除」を押す可能性が出て来たんです。それに困って「こんなもん使えるか!!!」って騒いでました(笑)

あとは取引登録画面で、あるボタンを押したあと何が起きているかわからなくなるとか、日付のところにフォーカスがいくと二度と抜けられなくとなるとか、様々。気がついたら1時間くらい演説してましたね(笑)
今は良くなった部分もありますが、まだまだ改善の余地もあります。

ーfreeeに入る前からやりとりがあったんですね。

nakane:そうなんです。そして「まあ一度遊びにきてくださいよ」みたいな話があったので、後日行ってfreee社員とビールを飲んでいたら「もう入社しちゃえばいいのでは?」みたいな話になっちゃって(笑)1ユーザーとしての意見を言いに来ただけだったし、なんなら個人事業主なんで単発の仕事でももらえるかのしれないと思ってたんですよ。そしたら面接の日程が決まって、なんだなんだって(笑)

ーfreeeに入ってみて、どうですか?

nakane:強く印象に残っていることが2つあって、1つは「アクセシビリティへの取り組みがしやすい」と言うこと。さすがに僕が「これは使いにくい」って言ったことに対して「いやそんなことないでしょ」とはなかなか言えなくなりますよね(笑)もし僕が入社してなかったら「そういう人も少ないし」って言葉で片付けられていたかもしれない。ymrlさんや伊原さんのようにアクセシビリティに積極的に取り組んでくれている人もいるので、やっていきやすいですね。味方は多いです。

あと1つは、知らずに入ったんですけど、ここまで紙のない会社って珍しいじゃないですか。それは僕にとってはありがたくて、誰かにお願いして読まないといけない書類や書かないといけないものが、ほぼない。健康診断の問診票くらいです。freeeの発行物じゃないですけど(笑)

ーnakaneさんの入社はfreee的にもインパクトがあったんじゃないですか?

ymrl:僕の場合は、アクセシビリティに関してもともと技術的な興味と、信念として「みんなが使えるべきだ」みたいなものは漠然とあったんです。でも、具体的に自分の身に降りかからないものでした。
それがnakaneさんが入って、当事者が近くにいることで「今できなくて困っていること」「出来るようになると嬉しいこと」などが、はっきりわかるようになりました。「ひょっとしたらいいかも?」と思っていた施策の良し悪しがすぐに解るのは助かりますね。しかも技術的な話ができるので、開発もしやすいです。

nakane:ウェブ開発者で視覚障害者が身近にいる人って少ないと思います。アクセシビリティに取り組んでいる事業者はいくつかありますけど、たぶん近くに全盲のユーザーはいない。ユーザーテストのために来てもらうってのはあるかもしれないけど、エンジニアの立ち位置では珍しいと思います。

ー二人が今どんなことを考えながら開発に当たっているか教えてください。

nakane:幸か不幸か、freeeも含めて若い世代の多い会社って、自分が障害者になる可能性を考えていないんですよ。でも老眼の始まる世代が会社にいると、そのUIを考えるから幅が広がりますよね。結局、高齢者に使いやすいものって障害者に使いやすいものだったりするわけで。かなり意識しないと、高度な開発をしながらアクセシビリティをそこまでは持っていくのは難しいですね。

ymrl:freeeのプロダクトは全世代がターゲットなんですけど、もちろん高齢者の方も多いんですよ。その中には定年を機に何か事業を始める人、後継者として事業を受けつぐ人など様々な人がいる。そこには色んなシステムの導入や入れ替えがあります。そういう方の使いやすいプロダクトにしておかないといけないですね。人口比率でいったら高齢者のことも考えないと、話にならないです。

nakane:僕の感覚からすると不便なものを便利にするというだけだったら、せっかく新しいテクノロジー使っているのに勿体無いなという気がするんです。やっぱりできないことができるようになる方がいいじゃんって思うんですよ。例えば、僕にとっては記帳ってアナログだったら人の手を借りないと絶対できなかった事だけど、もしちゃんと会計freeeが使えれば、できない事ができることになるんです。そこを変えたいという気持ちは強いですよ。



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視覚障害がある人々にビジネス参画チャンスを freeeがアクセシビリティを意識して得た気づきとは
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