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# カルチャー# AI# イベントレポート

「AIは私には関係ない」と思っていた人たちが、業務を変えた。第1回 freee AI AWARDS レポート

「AIを使いこなせるのって、どうせ一部の得意な人でしょ?」そう思っている方にこそ、知ってほしい舞台裏があります。


2026年5月、freee社内で「第1回 freee AI AWARDS」のイベントが開催されました。社内からAI活用事例を公募したところ、全社から集まったエントリーは想定を大きく上回る230件。


このアワードで目立っていたのは、高度なAIの専門知識を持っていなかった「非エンジニア」のメンバーたちの姿でした。元客室乗務員でオフィスワーク自体が初めての総務担当者。コードを書いたことのないカスタマーサクセス担当者。彼らはどのようにしてAIを使いこなすようになり、組織の業務を変えていったのでしょうか。


今回のレポートでは、ナレッジシェアで登壇した3名のストーリーを中心に、彼らのリアルな舞台裏をお届けします。



なぜfreeeは、このアワードを開催したのか

freeeは「AIネイティブカンパニー」への進化を掲げています。ただ、この言葉は「一部の高度なエンジニアだけがAIを使いこなせばいい」という意味ではありません。


アワード事務局メンバーは、開催の意図をこう語ります。
「特別な人だけが活躍している状態ではなく、メンバー一人ひとりが自律的にAIを使いこなし、お互いに刺激し合えるカルチャーをつくりたい。その第一歩として、今AIで成果を出している人の『考え方のコツ』や『泥臭い工夫』を共有し合う場として、このアワードを企画しました」



アワードは2つの部門で構成されています。周囲の心理的ハードルを下げてカルチャーを広げた人に贈られる「活用推進部門」と、大幅な時間創出など具体的な成果を出した人に贈られる「好事例部門」。


今回の受賞者は計10名。PRD(製品要求仕様書)作成の型化、動画制作の内製化、システムログ調査の自動化など、職種も成果の種類も多岐にわたります。その中から、全社に向けて具体的なナレッジを共有してくれた3人のストーリーを詳しくご紹介します。


3人のストーリー ——それぞれのバックグラウンドから、壁を乗り越えるまで

1. nemotyさん(カスタマーサクセス職)「 8時間の手作業を、ボタン一つの自動化へ」


2018年に入社し、現在は他社会計ソフトからfreeeへの移行支援(導入支援)を担当しているnemotyさん。コードを書いた経験のない彼が立ち向かったのは、データ移行にかかる膨大な手作業でした。1社あたり約8時間、年間で数百〜数千社を対応するという、気の遠くなるような工数になります。しかも手順が100個近くある複雑な業務で、「最初はどこからAIに頼ればいいのかすら分からなかった」と言います。


彼が試行錯誤の末にたどり着いたのは、「一度に全部をAIに頼もうとしないこと」でした。「勘定科目のマッピング」「仕訳の変換」といったように、業務の手順を細かく分解し、1個ずつAIに指示を出していくアプローチです。また、数値のズレが許されない繊浅な部分は、社内のセキュリティチームと相談しながら、顧客同意のもとで実データを使ってテストを重ねました。


結果として、データ移行と初期設定を一括で自動化するシステムを構築。移行時間は8時間から約1時間へと87%削減され、年間で数千時間もの工数削減が見込めるようになりました。


💡 nemotyさんが掴んだ「思考の型」
「自分にしかできないと思い込んでいる業務も、実はAIの方が得意かもしれないと、プライドを捨てて任せてみること。そして、一人で抱え込まず、社内のエンジニアや詳しい人にすぐ聞くことが大切です。AIは魔法の杖ではなく、優秀なパートナーです」



2. maririnさん(総務職)「オフィス未経験から始めた、AIとトモダチになる3ヶ月」
maririnさんのバックグラウンドは、少しユニークです。前職は客室乗務員として働いており、2025年にfreeeへ入社するまでオフィスワーク自体がほぼ未経験という状態でした。もちろん、AIの知識もゼロからのスタートです。


入社後、「チーム全員をAIネイティブにする」というミッションを担った maririnさんですが、最初の試みは失敗に終わります。「AIで改善できる業務を書き出して」とチームに呼びかけるも、誰も具体的に答えられませんでした。そもそもメンバーは「AIで何ができるか分からない状態である」ことに気が付いたのです。


そこで、「難しいことから入るから壁ができる。まずは“AIと友達になる”ことを目標にしよう」と方針を大きく転換します。


チームミーティングの中に15分のレクチャー枠を組み込み、最初のワークは「Geminiに自分の似顔絵を描いてもらう」という遊びからスタート。業務改善の話は一切せず、とにかく触って楽しむことを最優先にしました。


この3ヶ月(全6回)の草の根活動を経て、チームのAI活用状況は激変。今ではメンバー自らが自動化プログラムを書いて業務を効率化するまでになりました。計25件の業務を自動化し、チーム全体で月約81.5時間(年間約980時間)もの工数削減を実現しています。


💡 maririnさんが掴んだ「思考の型」
「最初から『業務改善しなきゃ』と身構える必要はありません。まずはとりあえずAIに話しかけてみて、仲良くなるところから始めてみてください」



3. ゆうまさん(ビジネス職)「新卒2年目、10分で『動くモック』を作るプロンプトの型化」
2025年に新卒入社した若手ビジネス職のゆうまさんは、2人とは少し異なるバックグラウンドを持っています。彼は学生時代からAIに興味を持ち、AIの知識や可能性を深く学んできたメンバーでした。


だからこそ、入社後にビジネスサイドの現場で「もったいない壁」を感じたと言います。新しい企画のアイデアを思いついても、エンジニアに言葉だけで説明するのは難しく、認識のズレが生まれがちでした。「自分が持つAIの知見を活かせば、もっと現場のコミュニケーションを滑らかにできるはずだ」と考えたゆうまさん。


彼は生成AIを活用し、非エンジニアでも10〜15分で実際にブラウザで動くプロトタイプ(モック)を作成する手法を確立しました。視覚的に「こんなものを作りたい」と共有できるため、開発のスピードが劇的に上がったと言います。



さらにゆうまさんの真価は、「自分一人だけが使える便利スキル」で終わらせず、専門知識のない他部署のメンバーでも講師なしで再現できるよう、テンプレートや手順書として組織に還元した点にあります。今では50名以上の企画職が、自力でこのモック作成ができるようになっています。


そんなゆうまさんが、今日から誰でも使える「プロンプト(指示文)のコツ」をシェアしてくれました。


💡 ゆうまさんが薦める、精度が劇的に変わる一文
AIに指示を出すとき、文末に以下の文章を付け加える。「最高の回答を行うために必要な情報があれば、回答を生成する前にどんな些細なことでも必ず質問してください」たったこれだけで、AIが自発的に逆質問をしてくれるようになり、回答のクオリティが跳ね上がります。



誰でもAIを使える土壌」を安全かつ泥臭く支えるエンジニアたち

これだけ多くの、そして多様なバックグラウンドを持つメンバーによるAI活用事例が生まれた背景には、技術基盤を裏で支えたエンジニアたちの存在があります。今回のアワードでは、事務局から2名のエンジニアへ「特別賞」が授与されました。


専門知識のないメンバーが、なぜ戸惑わずに高度な自動化に挑戦できたのか。それは、エンジニアのメンバーが、「Claude(クロード)をはじめとするAIエージェントがfreeeで安全に仕事をするための強固な基盤」を構築してくれたからです。


データ連携などの複雑な設定を取り払い、専門知識がないメンバーでも直感的に高度な自動化に挑戦できるよう、社内環境を安全かつ泥臭く整えてくれました。この「誰もが迷わず、安心して打席に立てる土壌」があるからこそ、freee全体のAIムーブメントが実現したのです。


イベントの締めくくりに、CAIO(最高AI責任者)のyjさんはメンバーに向けてこう語りかけました。
「今回の事例を見て感動したのは、みんなが『自分の半径10メートル』の不便をAIで解決しようとしているスタンスです。今のうちからとにかく触って、失敗を恐れず作ってみる成功体験を積んでいってください。ある日突然、今まで大変だったことがパッと解決できるようになる日が必ず来ます」



おわりに:一歩を踏み出してみたいあなたへ

今回アワードでスポットライトが当たったメンバーも、置かれた環境やバックグラウンドは三者三様です。しかし共通しているのは、目の前の「ここが不便だな」「もっとチームを楽にしたいな」という小さな気づきからスタートし、周りの力を借りながら試行錯誤したという点です。


「AIに興味はあるけれど、自分のスキルでは難しそう……」と感じている方にこそ、今のfreeeの環境は優しく機能するように設計されています。気軽に相談できるAIコミュニティがあり、背中を押してくれる仲間やエンジニアがいます。


現時点でAIの実績やスキルがなくてもまったく問題ありません。「これから触ってみたい」「自分の周りの不便をちょっと変えてみたい」という動機を持つ方を、私たちは大歓迎しています。


少しでもこの環境に興味を持ってくださった方は、まずは気軽な「情報交換」として、カジュアル面談でお話ししてみませんか?


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