大手コンサルからfreeeへ。アライアンスの責任者・渡邉が広げるfreeeの未来
2020年現在、freeeのアライアンスチームでジャーマネを務める渡邉 俊。
大手コンサル会社で7年間勤務した後、目指すキャリアのためには別の経験が必要だと気がつき、freeeに転職しました。彼がどんな想いを抱えて転職を決意し、活躍しているのかご紹介します。
freeeに入りたくて、前職を辞めたんですよ。
(前職時代、家族で休暇中)
新卒でコンサル会社に入社し7年間勤務した渡邉ですが、次第に、目指すキャリアのためには別の経験が必要だと感じ始めます。
渡邉 「コンサルって相談を受けて、会社の業績を改善する業務だと認識してる方が多いと思うんですけど、実態はリサーチしたり資料をつくるのがほぼメインなんです。もちろん中長期計画を立てるときの壁打ち相手にはなるけど、立ち位置的には第三者機関なので、事業会社に対して『〜〜しましょうよ』ってあまり言えなくて。経営方針はあくまで内部で決めることなんですよ。
自分は将来的に起業を考えているので、そういう意味では、コンサルの外部的な観点より事業会社でのリアルな体験が必要だと感じていたんです」
また、従来コンサル業界が強みとしてきたことの付加価値は、昔よりなくなってきてると言います。
渡邉 「いろんなプロジェクトに入るので、他社さんのビジネスモデルの情報がすぐにとれるんですけど、今はもうインターネットがあるので簡単に手に入るんですよ。あとは中長期的に考えたときに、コンサルが得意としているロジカルシンキングもAIに代替されるだろうなと」
そんな想いから転職を考え始めた渡邉。そこで出会ったのがfreeeでした。
渡邉 「フィンテックのベンチャーを調べる機会があり、そのときにfreeeを知ったんです。何社も調べた中で、freeeが一番地に足着いてるように感じました。会計ソフトがクラウド化して行くのも現実的に思えたし、腑に落ちましたね。
だからfreeeに入りたいと思って 、前職を辞めたんですよ。そのときはまだfreeeに受かってなかったんで、落ちたらどうしようと思ってましたね(笑)」
2018年は無理ゲーをクリアした!
(イベント登壇中の渡邉)
2017年3月、アライアンス(事業戦略)で面接を受けて入社が決まりましたが、freeeはまだまだ成長途中。当時の局面を考えて、最初はセールス事業部に配属されました。
渡邉 「僕、入って2日で『インサイドセールスを見てください』と言われ、ジャーマネになったんですよ。ジャーマネっていうのはマネージャーのこと。freeeでは“タレント”であるfreeeのメンバーを叱咤激励し、成長・活躍をサポートする役割で、その意味を込めてジャーマネって呼んでるんです。
前職でも管理職はやってたんですけど、知らない人が働いてるところに飛び込んでの経験は初めてだったので、びっくりしましたね。業務としてはオペレーションの管理とメンバーの育成で、そんなのすぐに対応できないので、走りながら考える感じでした。
1カ月もすれば慣れてきて、オペレーションのところは数字をしっかり見て、メンバーに関しても毎日話してたらなんとかなりました。これもfreeeのマジ価値指針のひとつ、『アウトプット→思考』だったのかなと、今では思います」
しかし、管理職であるがゆえの悩みがありました。それは渡邉自身がエンドユーザーに提案しているわけではなかったので、プロダクトの細かい部分やマーケットに関して理解が進まなかったこと。入社半年後、そんな渡邉に転機が訪れます。
渡邉 「当時の会計freeeは個人事業主や、かなり小さなスモールビジネス向けに販売されていたのですが、新しく中堅法人向け事業を立ち上げることになり、そこを任されました。
チームの人数はふたりと少なく、初めて自分でエンドユーザーのところに足を運びました。そこでプロダクトの詳細・税制・会計ソフトのマーケットなどを理解できました。もちろんfreeeでも『現場に出てから管理職』が普通なので、僕はかなり特殊なケースだと思いますが、経験としては楽しかったです」
渡邉が立ち上げた中堅法人向け事業部は、今やfreeeの基幹事業。マーケ・セールス・カスタマーサクセスすべての責任者になった渡邉ですが、2019年12月の上場を迎えるにあたって、審査期間の2018年は大変だったと言います。
渡邉 「計画を立てて、達成までのロードマップをつくるじゃないですか。そんなもん、絶対最初からうまくはいかないんですよ、とくにベンチャーは。毎回半端ない無理ゲーに挑戦してうまくいかない日々を、局面のたびになんとか乗り越えて、最後ギリギリ達成するって感じです。
やってるときはしんどかったけど、今振り返ればヒリヒリしておもしろかったですね」
ここ半年〜1年でかなり世界が変わったんです。
(アライアンスチームでのオフサイト)
2019 年に入り、本来希望していたアライアンスチームに、ジャーマネとして異動になった渡邉。アライアンスはこれからのfreeeを支えるチームになると言います。
渡邉 「セールスチームはfreeeのプロダクトを直接エンドユーザーに売ってるんですけど、これは直販。アライアンスチームでは間接販売をやっています。要はfreeeを売ってくれるビジネスパートナーを探して、売り方の支援をしています。
イメージしやすく言うと、iPhoneを買うときにはAppleストアからも、ドコモショップからも買えますよね!?僕はドコモ側になってくれる企業を探しているって感じです。
今までも税理士さんとfreeeを売るしくみを構築してきたんですけど、税理士さん以外のチャンネルもつくっていきたい。というわけで、2019年の7月から会社としてアライアンス事業にガッツリ投資が始まりました」
具体的には相手、freee双方にメリットがありました。
渡邉 「たとえば携帯キャリアは、一番使ってほしいのは回線で、そのフックとしてスマホ本体も売りますよね?さらにそのモバイルを買ってもらうフックとして、アプリがある。
freeeのアプリは確定申告などが完結できるので、法人としてモバイルを持ちたい人にはプレゼンのひとつとして有効に生かせます。自社商材を売るためにfreeeを売ってくれるパートナーは、少なからずいるんですよ。
freee側としては、freeeのプロダクトはそんなに高い商材じゃないんで、提携先のパートナーがfreeeを売ってくれて、それに対するマージンってあまりメリットがないんですよ。ただfreeeを使うと企業の財布・財務データ・入出金がデータと して溜まるので、それは大きいと思いますね」
数年前から小さく存在したアライアンスチーム。取り巻く環境も、変わっていきました。
渡邉 「最近では、上場したので向こうから問い合わせがきますね。大々的にはまだ『販売できます』ってアナウンスはしてないんですけどね。非常にありがたいことです。正直、ここ半年〜1年でかなり世界が変わりました。
もともとアライアンスはCOOの尾形 将行やCMOの川西 康之が一生懸命やってたんですけど、本当に相手にされなかったんですよ。『freeeってなんですか?実績あるんですか?』って時代でした。だからいい時期にアライアンスの責任者になって、恵まれてるなって言われるんです(笑)」
もちろんセールス・マーケ・エンジニア・PRなどfreeeの全員が今まで頑張ってくれたおかげで、freeeはここまでこれた、と渡邉は考えています。
マネジメント論とfreeeの未来。
約3年、さまざまなチームでジャーマネとして働いてきた渡邉。freeeでの日々を総括します。
渡邉 「正直、恵まれてると思います。freeeに来て良かったなと心の底から思っていますね。一番やりがいを感じたのは、事業責任者として売り上げにコミットできたこと。それにともない、思考回路が変わりました。
コンサル時代は数字を積み上げて綺麗なロジックを立てることを意識してたんですけど、事業サイドに行くとそんなの考えてる時間はない。覚悟を決めてどこにベットするか。 これで行くって決めたら、やる。やりきる。それしかない。結果を出して事後報告です」
ジャーマネとしてのチームマネジメントにはしっかりとした根拠と、優しさがありました。
渡邉 「1on1をしてみて、メンバーの士気が下がってるなってときもありました。でもプレッシャーをかけても上手くいかないので、『売り上げ上げろ』とかは言わない。逆に『自分のペースでやりな』とも言わないですけどね。
事実に基づいたフィードバックが一番大事だと思います。僕ができるのは、結果じゃなく過程もちゃんと見て、『ここが数字的にショートしてるから伸びてないよね』って具体的に言うこと。その上でどうやったら実現できるか真剣に一緒に考える。フィードバックは感情じゃなく、数字を見てフェアにやるべきなんです。
一人ひとりのメンバーに真摯に向き合う。それに尽きると思います」
その他にも、ジャーマネとして大事にしていることがあると言います。
渡邉 「チームとして大事にしてるのは現場主義ですね。freeeではジャーマネって雑用係なので、現場が勝手に動いて、勝手に意思決定するような環境づくりは意識してます。また現場に立つものによっても差異はあって、それはその人の特性なんで、伸ばしてあげたいです」
これからのfreeeを考えたときには、楽しみしかないと言います。
渡邉 「世の中を便利にしたいって気持ちもあるし、僕が大事にしてるのは『日本がもっと世界で戦えるようにしたい』という視点です。会計のクラウド化を早く日本で実現できれば、確実に世界で戦えるようになります。税制が違うのでプロダクトの世界進出は難しいと思いますが、データでは絶対戦えるんです」
freeeが今後さらなる成長曲線を描き、世界で勝負できる企業になるまで、渡邉は歩みを止めない。