freeeで社会の変革を目指す──プラットフォームビジネスの魅力と可能性を追い求めて
2016年に入社した竹内 龍太。学生時代に立ち上げた事業で挫折を経験した彼は、再スタートを目指してfreeeにやってきました。現在はアライアンス部門の責任者の一人として、事業の拡大に貢献しています。そんな竹内の入社前後の軌跡と、彼がfreeeで成し遂げようと志す「変革」について語ります。
《インターン先で志したビジネスへの挑戦と、4年目の挫折》
高校卒業までサッカーに励み、プロを目指していた竹内。2010年、学業へのモチベーションを持てないまま大学に入学します。
竹内 「サッカー選手しかなりたいものがなかった自分が、『普通に大学生活を送り、就職活動をして社会に出る』という、いわゆる一般的なルートを歩むのには適合できないと考えました。
そこでサークルにも入らず、アルバイトも後回しにして、大学1年の5月に弁護士ドットコムのインターンに申し込んだんです。ちょうどメディアを作ろうとしていたタイミングで、弁護士さんを取材して記事を書くライターとしての募集でした」
結果的にこの選択が竹内の人生に大きな影響を与えます。
竹内 「インターン先での経験は、全てが刺激的でした。そのなかでも特に印象的だったのは、会社の懇親会で弁護士ドットコムの創業者である元榮 太一郎さんとお話する機会を得たこと。志やエネルギーに衝撃を受けたことを覚えています。
私は弁護士と起業の両方に興味を持ちましたが、司法試験の勉強は続かなかったので、ビジネスのリーダーになることを今後の目標にしました」
そして2012年、同じ志を持った仲間とともに事業を始めます。
竹内 「起業家を育成・支援する事業を立ち上げました。マーケティング・ファイナンス・PR・経営戦略などが学べる動画コンテンツを整備したほか、興味のある事業分野が近い人たちで相互にレビュー等を行えるオフラインコミュニティの形成、イベントの運営などをしていました。
始めた理由としては、お金に関する教育を幼少期から大学に入るまで受けてこないことに疑問を持ったことと、自分のやりたいことを叶えるために起業にチャレンジしようとしている人や専門職の方を応援したいと考えたからです」
2014年、竹内は大学卒業後、人材紹介エージェントに入社し兼業を始めるも半年で退社。再び事業活動に専念するようになります。
そんな竹内でしたが、しだいにやりがいを感じられなくなってしまいます。
竹内 「事業は少しずつ安定的に成長を続けていましたが、ちょうどその頃解約される方も増えてきました。要因を調べたところ、コンテンツの受講が終わったタイミングや、メンバーのステップアップのタイミングでの解約が続いていることがわかりました。
当時のビジネスモデルは、事業成功までのコミットができるわけでもなく、事業におけるカスタマーサクセスと解約が近しい構造になっていたんです。
しだいに自分が提供している価値にも心から自信が持てなくなっていきました。未来の起業家が集まるプラットフォームをつくりたかったのに、気がついたら会費ビジネスをやっている感覚になってしまっていて、『本当に自分が心からやりたいことか?』と問いかけたとき、答えはNOになりました」
2015年の年末、竹内は4年間続けた事業を辞めることを決断します。
《「マジ価値」という言葉に共感してfreeeへ》
事業を辞めた竹内は、それから3カ月の間、自分の人生に迷います。
竹内 「一緒にビジネスを始めた仲間とも、望んでいない形で別れてしまいました。しばらく何もできなくなって、所属している社会人チームでただサッカーだけをやっていました。次にどんな志で、どんな仕事をしたらいいのかわかりませんでした」
その期間、気持ちを整理したことで、しだいに変化が生まれてきます。
竹内 「かつて事業を始めたのは、自分の中でステレオタイプ的に『サラリーマンは人に言われたことをやってお金をもらっている』という考えがあり、自分は誰にも雇われることなく自由に好きな仕事をやりたいと思っていたからでした。
しかし様々な挫折を味わい、心が折れる経験をしたことで、それまでの表面的で浅い価値観が崩れていきました。雇われることへの抵抗を捨て、人としても能力的にも未熟な自分が生まれ変われる環境があれば、そこに飛び込みたいと思うようにになったんです」
竹内はサッカーチームのメンバーに、転職エージェントを使ってカジュアル面談ができることを教えてもらい、申し込んでみることにしました。そこでfreeeと出会います。
竹内 「たまたまfreeeの採用サイトを見つけ、『マジ価値(ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えること)』という言葉に惹かれたんです。
事業を辞めた時に、『自分のやってきたことは、未来の起業家にとって本質的に意味があると自信を持って言えるのか』という疑問 があったので、その文言に引っかかりました」
freeeのカジュアル面談を受けることを決意した竹内。選考に進み、2016年3月にfreeeに入社しますが、そこには大きく3つの理由がありました。
竹内 「まずは『マジ価値』を目指す姿勢です。思えば、弁護士ドットコムも、大学時代に関わった別のインターン先も、『本質』を追求していました。本質的な価値の追求こそ、提供している価値に自尊心が持てる手段であり、自分自身が無意識で大切にしていることではないかと思いました。
2つ目は、人です。面接では色々な人と会いましたが、皆さん人生の幅が広くて、ユニークでした。中には私と同じく事業の経験がある人もいました。
また、一人一人に自分の意思を感じました。会社から言われたことをただやってる人なんていないんだなと、自分のステレオタイプ的な考えもどこかに飛んでいきました。私もこの環境に身を放り込んで、freeeでリスタートしたいと思いました」
3つ目はビジネスモデルでした。
竹内 「これまでオフラインのプラットフォームビジネスに携わってきましたが、ITの力で1対nへの価値提供ができるようになると、世の中に大きなインパクトが与えられるのではないかと考えました。
また、そのプラットフォームが会計や取引を軸に形成されているのも、ビジネス的な強さと可能性を感じました」
《インサイドセールス、中規模法人セールスの責任者を経て、チャネル開発へ》
(▲イベントで登壇中)
竹内はfreeeにインサイドセールスとして入社しました。当時の様子を振り返ります。
竹内 「社員の数は100人くらいで、エンジニアの方が多かったです。ビジネスサイドはインサイドセールスの組織が立ち上がったところで、これから人を増やそうとしているタイミングでした。
『freee会計』は個人事業主や小規模法人に提供できるくらいで、中堅規模の市場にはリーチできていませんでした。
また現在の『freee人事労務』の前身となる『給与計算freee』がリリースされた直後で、私は『給与計算freee』のインサイドセールスを担当することになりました」
竹内はインサイドセールスを務めた1年半でチームの責任者となります。
次に新たなマーケットセグメントを対象とする事業部の立ち上げを任されることになりました。
竹内 「1年半の間に『freee会計』の機能は増え、中堅企業向けにも対応できるようになっていました。
一方で、セールス組織は企業規模によって分かれていましたが、当時の体制では上手くアプローチできていなかった中規模法人領域があったんです。そこで中規模法人だけを担当するセールスチームが作られ、私はマネジメントとしてアサインされました」
竹内は中規模法人への効果的なアプローチを実現すべく、組織の構成を考えました。
竹内 「よりセールスをスケールさせていくために、チーム内をインサイドセールスとフィールドセールスに分けたんです。
コンサル出身であるチー ム全体の責任者・渡邉 俊や、有識者からも助言をいただきながら、決裁者がしっかりと費用対効果を認識できるようなセールス体制を構築していきました。
その結果、freeeが提供できる価値がお客様にどういう効果があるのか、時間が削減されることでどれくらいの金額的なメリットがあるのかなど、freeeのプロダクトの持つ思想を伝えていくセールスができるようになったんです」
フィールドセールスへのチャレンジが始まり、チームがある程度育つと、次に竹内がアサインされたのはアライアンス(事業開発)チームでした。
アライアンスチームで担うのは、一緒にfreeeを販売してくれるビジネスパートナーを探して、販売支援をすること。これまでパートナー事業部が税理士さんと一緒にfreeeを販売するしくみを構築してきましたが、新たなチャネルを作っていく動きが始まったのです。
竹内 「当初、アライアンスはCXO・尾形 将行やCBO・川西 康之を中心に取り組んでいましたが、パートナーと共にクラウド化を推進し、freeeのプラットフォームの価値をより多くの事業者様に届けられるよう、5名を増員し、リスタートする形になりました。
私はその中で、複合機や通信キャリアの代理店様を担当しながら、SaaSベンダーとのアライアンスを開始しました。大きなインパクトを起こせそうだなとワクワクしたのを覚えています」
《大きくなっていく組織に気張らず、寄り添う。社会に変革を起こすために》
竹内はアライアンスをよりスケールさせるために、社内の体制作りから施策を打ち始めます。
竹内 「代理店契約を結んでいたパートナーは一定数いたものの、パートナーを支援するリソースがなかったのでなかなか動き出せない状態でした。そこで細かいオペレーションの整理などから始め、パートナーがfreeeを販売する動機を持ってもらうための施策を考え始めました。
また新規パートナーの獲得はもちろん、社内の営業組織を巻き込みながら、パートナーと共同でのマーケティング施策、セミナーやイベントなどの開催も始めました」
竹内にはアライアンスチームの責任者として、常に意識していることがあります。
竹内 「『物事がどういう順番、構造で動いていくのか』を考えることを意識しています。例えば、何か施策を打つときにも『freeeを売ってください』と言うのは簡単ですが、それだけでは組織も人も動きません。
クラウド化が進むと社会にどんなメリットがあるのか、freeeを勧めていくことで組織や個人にどのような変化が生まれるのかを提示して、そういったシチュエーションを実現するためにはどうすれば良いのかを考える必要があります」
当初5人だったアライアンスチームは拡大し、2019年にはアライアンス事業本部となりました。事業本部内は銀行との協業を進める金融アライアンス事業部と、既存のアライアンス事業部に分かれており、2022年現在、竹内は後者の責任者をしています。
竹内 「アライアンス事業も育ってきて、今では全国各地にfreeeを販売してくれているパートナーがいます。おかげで オンラインだけでは届かない層にfreeeを知ってもらい、freeeの価値を提供できる機会も増えました。
今はまだ社会に変革を起こす過程にいるので、何かを成し遂げたという感覚は全くありませんが、5年前と比較すると少しづつ世の中の変化に関わっている実感が湧いてきています。
プラットフォームビジネスの魅力と可能性に取り憑かれて始まった仕事人生なので、これからもfreeeのプラットフォームの価値を社会に届けられるように頑張っていきます。
人も会社も変化には痛みが伴い、様々な事情で変化が起こせないシチュエーションがありますが、そんな状況から逃げずに、何十年というスパンで振り返ったときに、革新的な変化を起こしたと言えたら本望です。何より、その時に一緒に分かち合える人がいるかどうかを大切にしていきたいです」
freeeの目指す『マジ価値』の提供、その一端を担う竹内。彼の起こそうとする長期的な変革に注目が集まります。