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# 中途入社# HRBPaaS# BPO

「Next SaaS」への挑戦──業務の本質を変えるHRBPaaSの可能性とは

メルカリ創業期に7人目のメンバーとして参画し、家事代行サービスのベアーズや医療×AIスタートアップなどで、複数事業の責任者・経営ポジションで実績を重ねてきた島崎夢人さん。

freeeでは「HRBPaaS(Human Resources Business Process as a Service)」のMid/Enterprise(中堅・大企業)事業の責任者を務めています。企業の業務プロセスそのものを根本から見直し、テクノロジーと実務支援の両輪で企業を変革していく本事業。挑戦の最前線で、島崎さんが見据える未来とは──。
本記事では、島崎さんのキャリア観やHRBPaaS事業の可能性についてお話を伺いました。

【プロフィール】

島崎 夢人 HRBPaaS Mid/Enterprise事業責任者
メルカリ創業期に7人目のメンバーとして参画し、CtoC取引に付随するサービスの設計や組織の立ち上げなどを幅広くリード。その後も複数のスタートアップや成長企業にて、新規事業の立ち上げや経営ポジションを歴任。2023年5月よりfreeeに参画し、SaaS×BPOの新規事業「HRBPaaS」のMid/Enterprise(中堅・大企業)向け事業の立ち上げを責任者として牽引。

数十倍、数百倍のスケールを実現に導く、圧倒的な熱量


ー これまでさまざまなフェーズの事業に携わってこられましたが、島崎さんの中で一貫している軸やテーマはありますか?

島崎さん:これまで自身が関わらせていただいた企業の規模や事業のフェーズは様々ですが、どんなときも変わらず大事にしてきたのは、サービスやプロダクトを数十倍、数百倍に成長させていくことに強くコミットすることです。どうすればその事業が成功し、成長をするのか。取り巻く市場環境や自社の優位性などを見据えて、いまなにが必要なのかを常に考えて主導し実行に移してきました。

結果として、これまで新規事業の開発やPdM、アライアンスの推進、全社の組織づくり、マーケティング・広報など、幅広い領域を兼務したり管掌してきました。


ー 特に印象に残っているご経験はありますか?

島崎さん:ひとつはメルカリの創業期に関わった経験です。開発以外の初のメンバーとしてジョインし、CtoC取引に付随するアプリ外のサービス体験の設計やその組織設計などをリードしました。

創業期のメルカリにジョインし、その圧倒的な成長を間近で体験できたことは、私にとって非常に貴重な経験でした。この時期に強く感じたのは、成功体験がいかに人を成長させるか、ということでした。

過去の事例がない状況から自ら必要な仕組みを考え設計し、目の前に現れる課題に対して圧倒的なスピードで向き合っていく日々でした。混沌とした環境の中で、打ち手ひとつで事業がぐっと動く、そんな感覚と濃密な時間をみんなで過ごしたことは今でも強く印象に残っています。

自分たちの手で成功を掴み、それを仲間と分かち合えるような環境や機会を自らもつくっていきたい。そんな思いを原動力のひとつとしています。


ー 事業を大きく成長させる上で、特に大切にしている考え方があれば教えてください。

島崎さん:意識しているのは、「成長の可能性をできるだけ潰さないこと」と「成長を妨げるリスクを、できる限り先回りして取り除くこと」の二つです。

新しい市場に挑む初期段階では、多少のリスクを許容してでも前に進む決断が必要な考えもありますし、一方で、早い段階で足元を固める決断が求められることもあります。これまでの経験を通じて「状況やフェーズに応じた見極め」が少しずつ自分の中に蓄積されてきたので、「この事象については今はここまでやり、このフェーズになればその方針もこのように変化させていく」といったような言語化を行い、共通認識をチーム全体で持てることを意識しています。

スタートアップやスケール期のビジネスでは、想定外のトラブルや大きな課題は予期していても必ず発生するので、そのような事象が起きたとき「自分たちの今取るべきスタンスはどうあるべきか」を明確化しておくことで、成長の踊り場に陥ったり、方向性の議論に終始しすることがないよう、迅速に次のアクションへと進めることを意識しています。


ープロダクトから組織まで、本当に幅広いご活躍をされてきた島崎さんですが、なぜ、どの役割でも結果を出し続けることができたのでしょうか?

島崎さん:freeeでも、「どうしてそんなに多くの役割をこなせるんですか?」とよく言っていただきます(笑)。

答えはシンプルで、「絶対にサービスを伸ばす」という思いが、誰よりも、おそらく圧倒的に強いから。この当事者意識が、自分自身の活動の幅を広げてきたのだと思います。

そのため、ときには「このやり方では伸びません」と率直に伝えることもあります。成長の妨げになると感じたら、相手が誰であっても遠慮しません。freeeはこの姿勢を認めてくれる環境のため、妥協なく先を見据えてビジネスに向き合うことができています。

SaaS×BPOで切り拓く、業務プロセス変革の新戦略


ー「サービスを絶対に伸ばす」という島崎さんの根本にある価値観を伺ってきましたが、そんな島崎さんが今まさに挑んでいるのが、freeeが本格的に手がけ始めたばかりのHRBPaaS事業です。どんな事業なのか教えていただけますか?

島崎さん:BPaaSとは、SaaSとBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を組み合わせた事業モデルです。freeeはこれまで、会計や人事労務領域のサービスを提供するSaaS企業として、お客様自身がサービスを活用し、業務を効率化することを支援してきました。

しかし、実際はすべてのお客様がfreeeの提供するサービスをうまく使いこなせるわけではありません。中にはITを使いこなすリソースが限られていたり、既存の複雑な業務プロセスが障壁になっていたりするケースが多くあります。

そこで新たに取り組んでいるのが、「ソフトウェアを提供するだけでなく、その業務自体をfreeeが担う」というBPaaS型のサービスです。具体的には、給与計算や勤怠管理、入退社の手続き、年末調整といった人事労務の各業務をfreeeが業務プロセスごと引き受け、お客様の業務を根底から支え、本質的な課題解決を推進していきます。

プロダクトと業務設計、そして運用を組み合わせることで、お客様がこれからの社会変化やテクノロジーの進化に対応できるよう、freeeがバックオフィス全体の変革と業務負荷軽減を圧倒的に推進していきます。 これがHRBPaaSという構想の核にある考え方です。


ー この事業は、freeeにとってはどんな意味を持つのでしょうか?

島崎さん:freeeの「第二の成長エンジン」になり得ると考えています。現在、HRBPaaS事業は、Mid/Enterprise(中堅企業/大企業)マーケット領域での展開に注力しています。

この領域は、これまでfreeeが強みを発揮してきたSMB(中小企業)市場とは異なる挑戦が求められる領域です。freeeとしても、まだ十分に価値を届けきれていない、これから伸ばしていくべき重要なマーケットだと捉えています。


ー なぜ、これまでとは異なる挑戦が必要なのですか?

島崎さん:Midマーケット以上のセグメントには、ERPや高価格帯の総合システムなど、数多くの競合が存在します。そのような環境を選択されているお客様に対して、「システムをfreeeに変えましょう」とストレートに提案しても、なかなか採用してもらえません。

その中で、私たちが進めているHRBPaaSでは、SaaSのテクノロジーと業務設計のケーパビリティを組み合わせ、お客様の業務をプロセスそのものから見直し、再設計していくことを重視しています。 単なる「システム対システム」の戦いではなく、業務プロセスの最適化と最大級の効率化を提案することで、freeeとしてこの領域で勝負ができると考えています。

また、Mid/Enterprise(中堅企業/大企業)企業では、業務設計や運用が個社ごとに複雑化しているのが実情です。HRBPaaSでは、そうした個社特有の複雑な課題を一つひとつ丁寧に分析し、解決策を見出していきます。そして、そこで得られた知見やパターンを汎用的な「型」として確立し、そのノウハウをfreeeのSaaSプロダクトにも還元することで、BPOサービスとしての提供価値はもちろん、プロダクト自体の進化にも繋げていこうと考えています。

このような循環が回り始めると、BPaaSはfreee全体の成長をさらに加速させる強力なドライバーとなるはずです。


PMFのその先へ。SaaSの知見とスピード感を武器に


ー HRBPaaSというモデルは、海外をはじめとして日本市場でも徐々に浸透しているようです。その中でのfreeeの強みは何でしょうか?

島崎さん:やはり一番大きいのは、SaaSベンダーとして長年培ってきたプラクティスの集積と技術力・開発ノウハウがあることです。

freeeは、国内でもSaaSのトップランナーとして走り続けてきた実績があります。その基盤を活かし、AIをはじめとしたテクノロジーを業務プロセスに取り入れることで、アウトソーシングだけでは実現できない、生産性が高いローコストオペレーションを実現していきます。ミスの少ない、高品質なサービスを持続可能なプライスで提供できるという点は、freeeならではの強みだと感じています。

さらに、人事業務は法改正や複雑な計算などが多く関係してきます。freeeは人事領域のSaaSを手掛けてきた経験値があるため、そのケーパビリティや対応力がBPaaSにおいても大きなアドバンテージになっていると感じます。

そして、将来的な展開として重要なのは、自社AIの進化の鍵が、良質で偏りのないデータをいかに多く集め、適切に扱えるかにある点です。 freeeが長年培ってきたデータ基盤と、BPaaSから生まれる正確なデータこそが、AIの精度を飛躍的に高める源泉となります。

また、AIの技術自体は今後コモディティ化していくと見ています。そうなると、本質的な価値はAIを「どう使うか」という活用の巧みさにシフトしていきます。 freeeは、SaaSとBPOの知見を融合させることで、この「どう使うか」の部分で圧倒的な優位性を築き、お客様の変革を加速させていけると考えています。



ー 技術を「どう使うか」が価値になるとは、どういう意味でしょうか?

島崎さん:現時点では、AIを活用するだけで一定の差別化につながることがありますが、生成AIなどの技術が急速に進化し、オープンソース化も進む中で、 AI技術そのものの新規性や優位性は、いずれ多くの企業にとって当たり前のものになっていきます。スマートフォンが普及し誰もが高性能のアプリを使えるようになったのと似ています。

そのときに問われるのは、「どんな目的で、どの業務に、どうAIを実装するか」といった、AI活用の設計力です。そして、その設計を迅速かつ柔軟に実行できる組織力こそが本質的な価値となります。

freeeには、SaaSで長年培ってきた技術力と、スタートアップ並みのスピード感のあるカルチャーがあります。だからこそ、最新のテクノロジーを活用したリーンなサービス実装や高速PDCAをまわしていける。これこそが、HRBPaaSとしての競争力になると考えています。



ー 現在のフェーズにおいて、すでに手応えを感じていることや、乗り越えるべきハードルがあれば教えてください。

島崎さん:既にPMF(プロダクトマーケットフィット:提供している製品やサービスが、市場の顧客ニーズに合致し、十分に受け入れられている状態)はしているという手応えがあります。

実際にご利用いただいているお客様から、「ここまでやってもらえるとは思わなかった」「本当に助かっている」「コスト削減ができた」といった感謝の声をいただくことも増えてきました。また、既存のお客様の未導入領域へのBPaaSの導入や、プランのアップグレードといった動きにもつながっており、提供している価値が確かに届いているという実感があります。

一方で、これから多くのお客様に届けていくとなると、今の少人数の体制ではどうしても限界があるのも事実です。スケーラブルに価値を届けられるよう、今後は組織としての体制をどう築いていくかが、大きなテーマになってくると考えています。

挑戦の手応えと成長の実感を、成功確度の高いフィールドで

ー 今後は組織づくりによりいっそう注力されていくとのこと。どのような方と一緒に働いていきたいですか?

島崎さん:HRBPaaSのミッションは、お客様の成功をご支援することにあります。そのため、「業務のアウトソーシング」そのものを目的とするのではなく、お客様の成功を共に追求できる方は、freeeのHRBPaaS事業で活躍できるのではと考えています。

また、HRBPaaS事業はまだ始まったばかりの事業です。組織も仕組みも、これから一緒に作っていく部分が多くあります。一人ひとりのアクションがサービスの根幹やお客様への価値に直結する時期となるので、足りないことを機会として捉え、自ら楽しみながら形にしていける方をコアメンバーとしてお迎えし、この新たな挑戦を共に切り拓いていきたいと考えています。

ー 「成功体験は、人を圧倒的に成長させる」ということを学ばれたと伺いました。freeeのHRBPaaS事業では、どんな成功体験を積むことができますか?

島崎さん:スタートアップのような挑戦を安定した環境の中で経験し、確度の高い成功体験を積むことができると考えています。

スタートアップは資金や人材、技術などが整いきらない環境で挑戦するケースが多いです。一方freeeは、上場企業としての財務基盤や開発体制が整っています。つまり、潤沢なリソースがありながらもスタートアップのような体験ができる、稀有な環境です。

加えて、私たちが今取り組んでいるBPaaSというモデルは、グローバルでも「Next SaaS」と呼ばれ注目を集めている領域です。SaaSが世の中に浸透した今、その進化形として、BPOと組み合わせたBPaaSモデルが新たな戦略として脚光を浴びています。

更にそこにAIを深く組み込み、その活用方法をデザインしていくことは、世界中のビジネスの進化の方向性に影響を与える重要な要素です。freeeでは、最先端のAI技術を実務に落とし込み、お客様の課題解決に直結させるという、まさにその最前線を経験できます。

先進的な事業モデルを日本向けにローカライズしながら、freeeで実際に更に新しい形にしていくプロセスに携われる。これは、事業づくりやお客様体験の構築に興味がある方にとって非常に学びが大きく、チャレンジしがいのあるフィールドだと思います。

「成功確度の高い挑戦」を通じて、自分自身も大きく成長していける。それが、freeeのこの事業で得られる一番の成功体験かもしれません。



ー 最後に、HRBPaaS事業は5年後、10年後にどのような姿になっていると考えていますか?島崎さんが描いているビジョンを教えてください。

島崎さん:現在はまだ「BPO=業務を外に委ねる」というイメージが一般的かもしれません。しかし、5年後、10年後には、まったく異なる形へと進化していると考えます。

我々が目指しているのは、業務を外から支える存在ではなく、内側に溶け込むパートナーです。何か困りごとがあったとき、隣に座る同僚のようにサポートしてくれる。そんな体験を、HRBPaaSだからこそBPOとAIのハイブリットでいち早く実現できると考えています。

また、それに伴い今我々が利用しているインターフェース…例えば、会計や人事労務のお客様の操作画面が大きく変化・消失していくことも予想しています。そういう試行錯誤をしながら、テクノロジーに明るい人だけでなく、誰もが無理なく使いこなせる仕組みを社会に届ける。それが、私たちがHRBPaaSというモデルで実現したい未来です。



HRBPaaS事業で、業務変革の最前線へ挑戦しませんか?

島崎が牽引するfreeeのHRBPaaS事業は、SaaSとBPOを融合させ、企業の業務プロセスそのものを変革する「Next SaaS」として注目を集めています。上場企業の安定した基盤とスタートアップのような挑戦環境が両立するfreeeでは「成功確度の高い挑戦」を通じた圧倒的な成長を実感することができるでしょう。

私たちは、単に業務をアウトソーシングするのではなく、お客様の成功に深くコミットし、共に成果を追求できる仲間を求めています。まさにこれから事業を形づくるフェーズだからこそ、あなたの貢献がサービス価値に直結するやりがいを感じられるでしょう。

「業務の本質を変え、社会に新たな価値を届けたい」──そんな熱い思いをお持ちのあなたからのご応募をお待ちしています。

HRBPaaS事業のポジション詳細はこちらをご覧ください:
https://hire.wantedly.com/careers/freee/career_page_all_jobs/2116
まずカジュアル面談」も歓迎! ご希望の方はこちら:
https://jobs.freee.co.jp/entry/casual-interview/



取材・執筆/早坂みさと
撮影/戸笈 汐音