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# 中途入社# カスタマーサクセス# マネージャー# 女性の働き方

freeeで過ごした10年が教えてくれた、“キャリアは想像以上に広がる”ということ

エステティシャン、人材営業を経てfreeeに入社した西村 綾乃(ayano)さん。当時から一貫して抱いていたのは「成長を続けたい」という想いでした。

インサイドセールスで顧客理解の大切さを学び、会計事務所に“留学”して現場を体感。挑戦を重ねる中でキャリアの幅を広げ、今ではパートナーサクセス部のジャーマネ(チームマネージャーのこと)として組織を牽引しています。

「freeeで過ごした10年で想像以上にキャリアが広がった」と語るayanoさん。これまでの10年を振り返りながら、大変な中でも挑戦を続けられた理由と、これからの展望を語ってもらいました。

【プロフィール】
西村 綾乃(ayano)

パートナー事業本部 パートナーサクセス部 マネージャー 美容業界での接客業務、人材業界での法人営業を経て、2014年にfreeeへ入社。インサイドセールスを経験した後、会計事務所や士業向けにfreee導入を支援するパートナーサクセス部へ異動。2021年より同部門のジャーマネとして、会計事務所とその顧問先への導入促進や、チーム戦略立案・メンバー育成を担う。

顧客理解から始まる、営業の面白さの発見


ー これまでのキャリアについて教えてください。

新卒で入社したのは美容業界で、エステティシャンとしてお客様の「きれいになりたい」という想いに寄り添う仕事をしていました。やりがいはありましたが、BtoC営業の要素も強く、「この提案は本当にお客様のためになっているのだろうか」と胸がざわつく場面も増えていきました。

そんな経験を経て、BtoB領域にシフトしたいと考えるようになり、人材会社へ転職。法人営業として顧客企業と向き合い、のちに営業代行を担う部署に異動しました。その後、freeeの営業職とのご縁が生まれ、入社に至りました。



ー 個人のお客様への営業は葛藤もあったとのことですが、法人営業へと領域を変えてからはいかがでしたか?

領域を変えたあとも、営業を「すごく面白い」と感じていたわけではありませんでした。根本的に、自分がゼロから提案して契約につなげることに苦手意識があったんだと思います。

それでもfreeeに入社を決めたのは、掲げるミッションと実際の行動が連動していることに魅力を感じたからでした。「本当にお客様のためになっているのか」という問いに一貫して向き合うカルチャーが自分にとっては新鮮だったんです。シンプルに面白そうな会社だと感じて飛び込むことを決めました。


ー freeeに入社して最初に担当されたのは、インサイドセールスだったそうですね。

はい。前職でも営業代行としてセールス活動に取り組んでいましたが、freeeに入って最初に驚いたのはその営業スタイルでした。型や決まったスクリプトがなく、お客様ごとに会話を組み立てる形。慣れない進め方に最初は戸惑いました。

当時のセールス組織の責任者からは、常に「お客様がどんな業務をしているのか、どんなビジネス・働き方がしたいのかをもっと聞きなさい」と指摘され、そこで初めて自分の営業スタイルに課題があると気付きました。私自身が話しすぎてしまい、肝心なお客様の声を引き出せていなかったんです。

そこで、会話の進め方を見直し、意識してお客様自身の言葉で状況や悩みを語ってもらうようにしました。すると、お客様の業務のどこに問題や滞りがあるのかがはっきりと見えてくるように。課題を明確にした上で提案できるようになり、売り込むというよりも、役立つ提案ができたという実感を持てました。営業の面白さを感じたのは、この頃からだったように思います。

現場に“留学”して見つけた、支援の本質とやりがい


ー 営業としての面白さを感じ始める中で、セールスからカスタマーサクセスにポジションチェンジされた背景を教えてください。

インサイドセールスを経験してしばらく経つ頃、ジャーマネから「パートナー事業部に行ってみないか」と声をかけてもらいました。パートナー事業部は、会計事務所や社労士事務所をはじめとした士業の方々を対象に、freeeの導入コンサルをしている事業部です。

freeeは個人事業主や法人のお客様に使っていただいていますが、多くの場合は税務顧問として会計事務所と契約されています。そのため、会計事務所や士業の方々=パートナーがfreeeをどれだけ理解し、顧問先へ広げていけるかが事業において非常に重要なんです。

セールスからカスタマーサクセスへの転身に不安はありましたが、それでも素直に「やってみたい」という想いがあり、挑戦してみることにしました。


ー どんな点で不安だったのでしょうか?

当時のパートナー事業部は男性が9割近くを占めていて、女性の異動は初めてだったので、組織に馴染んで活躍できるのかという気持ちがまずありました。

加えて、私自身会計や税務の知識はゼロに近く「はたして自分に務まるのか」という不安が何よりも大きかったです。ただ、根本的に新しいことに挑戦するのは嫌いじゃないので、飛び込めば新しい可能性が開けるかもしれないと腹をくくりました。


ー 実際にカスタマーサクセスの仕事に取り組んでみて、いかがでしたか?

最初は本当に苦労しました。そもそもこの仕事は、「会計事務所の中でどんな仕事が行われているのか」を理解していないと的確な支援などできません。しかし、当時の私はプロダクト知識も浅く、会計事務所の業務フローについてもほとんど分かっていませんでした。教える立場でありながら、お客様がどこで迷っているのかさえ掴めていなかったんです。


ー その状況をどう乗り越えられたのですか?

とにかく会計事務所の現場を知らなければと思い、思いきってお客様に「数日間、事務所で働かせてもらえませんか」とお願いしました。「書類整理や入力作業といった細かい業務でも構いません。一緒に仕事をさせていただく代わりに、freeeの活用における不明点はその場でお受けします!」とお伝えし、“留学”のような形で事務所に通わせていただきました。

実際に現場に入ってみると、「会計事務所の皆さんがfreeeを使うと、ここでつまずきやすいんだ」「会計事務所の業務フローはこうなっているんだ」と、実務を通して具体的に理解できるようになりました。お客様を支援するときも「実際に自分でもこの作業やってみたのですが、大変ですよね!」とお客様に共感できる会話が増え、自然と信頼関係を築けるようになっていったんです。

この“留学”は、今では多くのメンバーが取り入れています。現場にいた頃は、私自身も毎年事務所でお手伝いをさせてもらっていて、足を運ぶたびにお客様との距離がぐっと近付くのを実感していました。


大変さの先にあった、チームで成果を生み出す喜び


ー カスタマーサクセスとしての経験を積んだ後、ジャーマネになられたのはどのような経緯だったのでしょうか?

カスタマーサクセスの仕事にはやりがいを感じていましたが、「このままでいいのかな」という迷いが徐々に生じるようになっていきました。

任された仕事をこなすだけでなく、もっと広い視点で組織に影響を与えたい。ライフイベントがあっても長く働き続けたい。給与水準も上げていきたい。でも、同じやり方を続けているだけでは景色が変わらないかもしれない。そんな想いを抱いていたんです。

ちょうどその頃、当時のジャーマネから「ジャーマネの経験を早めに積んでみるのも良いんじゃないか」とアドバイスをもらいました。そこで、“アソシエイト・ジャーマネ”という、半分はプレイヤー、半分はジャーマネという役割からマネジメントにチャレンジすることになりました。


ー ジャーマネとしての役割を担うようになって、どんなことを感じられましたか?

最初は正直、「こんなに大変なのか」と衝撃を受けました。目の前の数字を追いながら、同時にチーム全体の歩みを揃える役割。メンバー一人ひとりの状況も把握する必要があり、視座もキャパシティも一気に広げなければなりませんでした。特にKR(成果指標)の設計や、その背景にある目的をどうチームに伝えるかは非常に難しく自分の力不足を痛感する日々でした。



それでも試行錯誤を重ねるうちに、チームで成果を出すための視点や工夫を少しずつ掴んでいきました。最初は自分で業務を抱え込みがちだったのですが、徐々にメンバーへ業務や権限を分散させるように意識を変えていったんです。また、メンバー育成にも苦戦しましたが、期待していることやチャレンジしてほしいこと、耳が痛くなるようなフィードバックもあえて言葉にするようにしました。

大きな目標をチームで達成できた瞬間はもちろん、仲間が成長してジャーマネになったり、他部署で活躍する姿を見たりしたときに、「この役割に挑戦してよかった」としみじみ感じています。

「成長したい」という想いが導くキャリアの広がり


ー ayanoさんがこれまで10年近くfreeeで走り続けてこられた原動力は、どこにあるのでしょうか?

「成長し続けたい」という想いです。心がモヤモヤするときは、大体は自分の成長スピードが落ちているときだと思っています。自身の壁を乗り越える機会や、新しい挑戦に思いきって踏み出す体験があることで、「もっと次のステージにいきたい」と自然と思えるんです。

そして、その時々でジャーマネが新しい挑戦のステージを用意してくれたことも大きかったですね。自分一人では選ばなかったかもしれない経験や役割に背中を押してもらえたからこそ、ここまで頑張り続けることができたのだと思います。

freeeでは、成長を前提にした環境が用意されています。3ヶ月ごとに目標が更新されますが、それは「ちょっと頑張れば届く」レベルではなく、常に背伸びをしないと届かないものです。しかも抽象度の高いオーダーも多く、自分で考え抜いて形にしていく必要があります。


ー 背伸びをしながら頑張る日々に、疲れを感じる瞬間はありませんか?

もちろんあります(笑)。「もう無理だ」と思う瞬間も正直あります。でも、そういうときに並走してくれるメンバーや先輩がいることが心の支えです。話を聞いてくれたり、一緒に解決策を探してくれたり、ときには一緒に遊んで気分を切り替えてくれたり。仲間の存在があるから、また「頑張ろう」と思えるんですよね。


ー ayanoさんはこれから、どんな未来を描いていきたいですか?

パートナー事業部では取り組むべきことがたくさんあります。会計事務所の中でもfreeeを十分に活用いただけているのは、まだ一部にとどまっているのが現状です。そのため、カスタマーサクセスの組織をさらに強化し、より多くのお客様に価値を届けていきたいと考えています。

こうした未来を描けるのも、この10年でfreeeに育ててもらった実感があるからです。ここで過ごした日々の中で、自分の可能性を広げるチャンスをいくつももらいました。もしfreeeにいなかったら、「自分にはこの範囲まで」と勝手に限界を決めてしまっていたかもしれません。挑戦を後押ししてくれるカルチャーがあり、ライフイベントに合わせて柔軟に働ける環境もある。おかげで、これからもキャリアを広げ続けていけると感じています。

挑戦し続けられる場所。そして、立ち止まるときがあっても、また前を向かせてくれる仲間がいる場所。freeeは、私にとってそんな存在です。

取材・執筆/早坂みさと
撮影/戸笈汐音