3年目新卒エンジニアが責任者に!挑戦を応援する文化がカギとなる
大学院時代にPythonを独学し、エンジニアリングの楽しさにのめり込んでいった松澤 伸一郎。2019年にfreeeへ入社した彼は、自ら規模の大きな仕事にチャレンジをし、成長を続けてきました。2年を経てエンジニア部門の責任者を担当している松澤の成長の秘訣をひも解きます。
Pythonを独学し、エンジニアリングの楽しさを知った大学院時代
▲学生時代の松澤(右から二番目)
大学では医療系の学部に 進学した松澤。放射線技師になる道もありましたが、さらに深い学習をするため大学院に進学しました。エンジニアリングと出会ったのは、修士課程の研究室でした。
松澤 「病院で働きたいというモチベーションが高くなく、医療機器メーカーへの就職も考えて大学院に進学しました。
研究室の修士課程では発表があり、先にその内容を決めないといけませんでした。そして、決めたあとに気がついたんです。自分のやりたいCTやMRIの画像変換を実現するには、エンジニアの技術が必要だと……。
もちろん手取り足取り全てを教えてくれる人もいなかったので、独学しないといけなくなりました」
大学院一年生の夏、松澤のコーディングの勉強は始まりました。そして学習の過程で、人生を変える気づきがありました。
松澤 「どうやらPythonという言語が必要だと理解しました。さらに調べると、医用画像の編集ができそうだなと思ったんです。すぐにpaizaというエンジニア系の学習サービスに登録して、一から勉強し、なんとか発表は乗り切りました。
またせっかく学んだし、ウェブサイトをつくろうと考え、冬にブログを作成しました。もうこの頃には、コーディングにのめり込んでましたね。『自分でコードを書いて、それが動くのって楽しいな』と気がつきました。エンジニアを目指す第一歩となりましたし、その気持ち自体は今でも変わっていません」
エンジニアリングの楽しさを知った松澤は、エンジニアになると決めて就職活動を始めます。
松澤 「2018年12月ごろから就活を始めました。paizaの新卒向け就活サービスの中にスキルチェ ックがあったので、とにかくアルゴリズム系の問題を解きまくり、Aランクを取得しました。また、興味がある企業には『いいね』をしておきました。するとfreeeを含め何社か、カジュアル面談につながりました」
最終的にはfreeeを含め、ベンチャー4社から内定をもらった松澤。成長できる環境という軸でみると、どこも同じに見えたと話す彼がfreeeを選んだのは、事業内容への共感でした。
松澤 「どこにするか悩んでいるうちに、思い直したんです。成長を目標にするのではなく、何か夢中になれるものがあり、それに向かって努力していたら成長は付いてくるんじゃないかと。
そこで、freeeの面接で『やりたいことにフォーカスしていたらビジネスがうまくいく世界を目指してる』と言われ、素直に『いいですねー』と言ったのを思い出しました。実家が自営業で、親の苦労を見てきたのでそう思ったのかもしれません。
そして、freeeに入社することを決意したんです」
自ら大きな仕事を取りにいった。そこで感じたやりがいと成長
▲19新卒メンバーと新卒合宿にて
2019年4月、freeeに入社した松澤。配属されたのは、『freee開業』と『freee会社設立』などをつくっている確定申告・設立チームでした。
プロダクトの細かいバグ直しから業務を始めた松澤は、徐々に規模の大きなものもこなしていくようになります。
松澤 「freeeには、基本的に仕事を振られるというより、自分で取りにいく環 境があります。だから大きな修正ポイントがあると、担当者のところに自分の名前を入れ、業務にあたっていました。その方がやりがいがあったんです」
業務にやりがいを感じる松澤ですが、独学で学んできた彼には、調べてもわからないことに出くわすと、考え込んでしまう癖がありました。
松澤 「調べると実装の仕方などは出るのですが、何を実装すべきかわからず考え込んでしまうことが多かったんです。そして、ある時の1on1でre-fortさんに『質問すべき時がわかってないんじゃない?』と言われました。
それからはわからないことはさっと聞きに行くようにしています。いつ聞いても優しく教えてくれる環境があるのもありがたいと思いましたね」
それから松澤は、さらに大きな2つのプロジェクトを担当します。1つめは、設立freeeのレコメンドサービスのインフラ設計でした。
松澤 「何をどうするのかわからないまま、とりあえず難しそうだから担当者のところに自分の名前を入れたんです。そこからが大変でした。
ゴールは、『freee会社設立』内で設立事例を表示すること。また、サイト内のURLと画像を差し込むのですが、ユーザーの業種によって事例を変える必要がありました。洗い出してみると作業量は膨大で、わからない箇所も多々ありました。結果、すごく苦労して、OKRの達成が遅れてしまったんです」
もう1つは、固定資産ページのReact化でした。
松澤 「React化とは、モダンな技術に置き換えるということです。そこで注意しないといけないのは、仕様が変わらないようにするということ。裏側の技術が新しくなったからとい って、フロントページで従来できていたことができなくなるようでは話になりません。
これは、レコメンドサービスのインフラ設計よりさらに大きな規模でした。地道にコツコツと、他のコードを見ながら、わからないことは聞きながら書いていきましたね。完成には2カ月ほどかかりましたが、その分やりがいを強く感じました」
大きなプロジェクトを通じて知識をつけ、経験値をためていった松澤。また、わからないことをすぐに聞きにいく姿勢や、進捗を共有して助け合う大切さも学びました。
APIチームへ異動。責任感の裏で感じるさらなる成長
▲開発合宿での様子
2020年1月、松澤はグロースチームからAPIチームへ異動。さらに2カ月後、コロナ禍でのリモートワークも始まりました。
松澤 「組織編成の前日に、突然、エンジニアの役員である泉との1on1がスケジューリングされたんです。
話を聞くと、APIチームの立ち上げからずっとリードしてきたエンジニアが退職することになり、僕に白羽の矢が立ったということでした。将来的にマネージャーになることを見据えての異動でしたね。
freeeでは3年でスモールチームのCTOになるという目標があります。自分もそれに挑戦したい気持ちがあったので、快諾しました」
そうして異動した松澤に待っていたのは、大変な日々でした。
松澤 「とりあえず仕事を引き継いだものの、直後の2カ月くらいで複数回、APIチームの実装起因 の障害が起こったんです。自分としては知識もなく何もわからない状態で、他チームのベテランエンジニアなどに助けてもらいながら、キャッチアップと対応を同時にやっていきました」
対応に追われながらも、知識を蓄えた松澤。
インフラもアプリケーションもさまざまなコードを書いてきた彼は、APIチームのエンジニアならではの注意点が多々あると言います。
松澤 「気をつけていたのは、API連携したサービスから『freee会計』に登録した時とWebから登録した時とで、同様に動くようにしないといけないこと。だから入念なチェックは欠かせませんでした。
また、APIの機能は色々なチームに横たわっているので、他チームをうまく巻き込んで開発しないといけないんです。そこは『freee会社設立』時代と異なる点だと思いますね」
APIチームには、エンジニアだけでなくビジネスサイドのメンバーもいます。彼らは公開数や利用率などを管理しています。
松澤 「そうしたメンバーと働く上では、きちんと伝えることと、あらかじめ言っておくことがとても大事です。プロジェクトの立ち上がりから話をして、関係者を巻き込み、一緒にやっている意識を大切にしています」
この上ない達成感を求めて、難題にチャレンジし続ける
▲インフラ基盤の移行が終わった時のもの
APIチーム異動から1年が経った松澤。2021年1月、ついにエンジニア部門の責任者となりました。
松澤 「APIチ ームに来て業務に慣れてからは、OKR作成など、チームリーダー的な動きを意識的にしていました。今も引き続き、チームメンバーが実装に集中できるような環境づくりや他チームとのコミュニケーション、チームが目標を達成するためにやるべきことを逆算して決めています。
僕自身、担当者が決まっていなかった仕事に立候補して成長してきました。今は仕事をつくる側になったので、成長を求めているメンバーに魅力的な仕事をしてもらえるよう意識していますね」
また、APIチームのマネージャーならではの課題も感じています。APIチームでは多くの機能を薄く触ることが多く、「こうしたい」という思いがあっても、APIチームだけでは完結できないのです。松澤はこうした状況を多々経験してきました。
松澤 「もちろん仕事である以上、優先度はつけないといけません。ただ、その課題がマジ価値(=ユーザーにとって本質的に価値があること)なら、工数がかかっても、ドメインロジックに関わる大工事になってもやるべきだと思うんです。
そのためには、同じように感じる人たちを巻き込んでリソースを割くところまでもっていく動きが必要なので、チーム内だけでなく社内で信頼される存在にならないといけないですね」
そんな松澤が、今後の目標について話します。
松澤 「優秀なエンジニアが、どんな環境でも常に保守性がありパフォーマンスの高いプログラムを書くように、良いマネージャーもどんな環境でも常に高いパフォーマスを発揮するチームがつくれると思います。自分もそんな良いマネージャーを目指していきたいです。
また、これからも難しいことにチャレンジし続けていきたいですね。自分が仕事に求めているのは、そうした難しい仕事の後に感じる大きな達成感なのではないかと感じています」
難しいことにチャレンジできる、手をあげさえすればなんでもやらせてくれる環境がfreeeにはあると経験を語る松澤。そうした環境を活かしながら、松澤はこれからも難題を乗り越えて成長を続けるでしょう。