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事業立ち上げメンバー座談会

新規プロダクト「freee販売」の立ち上げ

freee販売立ち上げメンバーの集合写真

プロジェクト概要

freeeはこれまで経営における、カネやヒトに関連したサービス提供を中心に行ってきました。今回の「freee販売」のリリースはモノに関わる新領域への第一歩として立ち上がった新規事業です。2021年のチームの発足からリリースまでを、わずか1年弱というスピードで進めた本プロジェクト。一人ひとりの成長とチームとしての連帯により難しいフェーズを乗り越え、現在も事業と組織の拡大を続けています。そんな「freee販売」の立ち上げについて、プロダクトマネージャーの佐藤さん、エンジニアの野村さん、セールスの中村さんに話を聞きました。

プロジェクトメンバー

佐藤顕範|freee販売事業部 プロダクトマネージャー兼事業部長

2017年中途入社。11年間地方銀行で勤務し、freeeと協業したことをきっかけに転職。入社直後から西日本エリアの事業開発組織立ち上げを行い、続いて子会社freee finance lab設立やfreee資金調達の立ち上げに従事。2020年よりプロダクトマネージャーに転向し、2021年に新規事業であるfreee販売の立ち上げを担当。現在はfreee販売事業部長として更なるプロダクトの磨き込みと事業グロースに邁進している。

野村亮太|freee販売開発部 開発部長

2019年中途入社。関西事業所に所属。ERPパッケージでのエンジニア職、ITコンサルタントを経たのち、freeeのミッションに共感し転職。freeeではfreeeプロジェクト管理やfreee販売といった新規プロダクトの開発に従事。エンジニアマネージャー/プロジェクトマネージャーとして活動しつつ、何かあればシュッとコードを書くという生活をしている。ユーザーのお困りごとを技術の力で解決するべく日々奮闘中。

中村千里|freee販売事業部 セールスマネージャー

2021年新卒入社。お客さまのことを知りたいとの想いからセールス配属を希望し、1年間インサイドセールスとして活動。その後、2022年より「freee販売」のセールスチーム初期メンバーに抜擢され、プロダクトリリース前後の立ち上げを行う。現在も同プロダクトのセールスマネージャーとして事業と組織の拡大を牽引している。

「最大公約数な販売管理を、最短で作る」

企画プロセス

2021年夏、販売管理立ち上げの案が浮上し検討が始まる。経営陣と方向性を詰めたのち、要件定義・ロードマップの可視化を行った。その後、2021年末にプロダクトマネージャーである佐藤と複数名のデザイナー、エンジニアで初期チームが発足。約半年間の開発フェーズを終え、テストユーザーに利用してもらうためのアルファ版を2022年7月にリリース。ユーザーフィードバックを元に開発優先順位をつけ、20%ほどの改修を経てプロダクト本番リリースに至る。

freee販売事業部長佐藤の写真

発足から7ヶ月でアルファ版をリリース

佐藤:多くの機能を持っていてもリリースに何年もかかっていては意味がありません。販売管理業務は会計や人事労務といった法規制への対応を必要とする業務と異なり、各社各様の業務フローが存在します。すべてのユーザーの業務フローに合わせてシステムを作ろうとすれば、いくらでも要件が膨らみ、いつまでもゴールに辿り着けない感触がありました。そのため今回は、最小限の機能で最大公約数の要求を満たす販売管理を最短で作ることに重点を置きました。まずは、社内の有識者の意見を参考に、要件を定義しました。難しい領域ではありますが、この段階でやっとゴールイメージが持てるようになりました。その中で、本当に必要な機能はどれか、最小限の機能でユーザーの要求を満たせるかを検証するリサーチを行い、最終的なロードマップを作成しました。その後、2021年12月に本格的にプロジェクトが発足し翌年7月にはアルファ版をリリースしました。アルファ版をテストユーザーに使用してもらい、150件の要望の中で優先順位を付けて内20%を開発して2022年11月に本リリースが実現できました。組織としての適応力も凄かったですし、高い開発力があったおかげで、このスピード感でリリースまで持っていくことができました。

迷いをなくし事業のスピードを上げる

佐藤:毎月プロジェクトに参画するメンバーが増えていくフェーズが大変でした。はじめは、持っている前提や文脈が違うことで、アクションに対する納得感が薄かったり、どう動いていいのか分からないことで迷いが生まれていました。結果として、一人一人の動きの連動性や業務のスピード感にずれが出ていました。一刻一刻と状況が変わる新規プロジェクトでは、滑らかな連携が滞ることでスピード感がガクッと低下します。そこで、マメにインプットしていく機会を増やしたり、 ユーザーインタビューにセールスやマーケティングのメンバー全員が参加したり、チームビルディングを頻繁に実施することで、お互いを理解する努力を重ねていきました。おかげで組織が大きくなる過程を経ても加速的にプロジェクトを進めることができました。

醍醐味は、ユーザーの反応とメンバーの成長

佐藤:毎回ドキドキするのですが、ユーザーにプロダクトを触ってもらった時の反応を目の当たりにした瞬間は忘れられないです。新しいプロダクトは、ユーザーの手に届くまで黙々と作っている期間が長いため、良いも悪いも反応があると嬉しいです。実際に受け入れてもらえる部分があったり、明確に足りないことが見えたりすると、次につながるアクションも決まっていきます。
また、メンバーが成長していく姿を見ることも醍醐味の一つです。答えのないプロジェクトなので、うまくいかないことも多くありますが、そのような中でもメンバーの変化が見えると嬉しい気持ちになります。

販売管理のあり方を変える

開発プロセス

2021年10月、freee販売の開発がスタートした。大まかなプロダクトの方向性や対象ユーザーは決まっているものの、具体化はされていなかったため、全体像を整理して開発に必要な情報を詳細化。そして12月にキックオフした後、メンバー全員でプロトタイピングを実施する。翌年1月からプロトタイプをベースに書く機能の本格的な実装を開始。社内の他チームの協力も得つつ試行錯誤を繰り返しながら開発を進め7月にアルファ版をリリース。ユーザーテストで受けたフィードバックの改善を実施して2022年11月に本リリース。

freee販売開発責任者野村の写真

販売管理は、世の中の仕組みそのもの

野村:元々入社時から販売管理をやりたいという思いがあったので、このプロジェクトの話が上がった時に、迷わず手を上げました。当初、既存プロダクトを拡張するという案もあり、別チームのアサインが予定されていましたが、新規に開発するという方針となって私のチームが担当することになりました。
販売管理はモノを買うという行為の裏側。つまり、世の中の仕組みそのものだと思っていて、それをシステム化するということに楽しさを感じていました。私は学生の頃に哲学を専攻しており、元々概念や仕組みが好きだったことも影響しているのかもしれません。理想は、誰でも使える汎用的な販売管理を作ること。世の中にある多種多様な販売業務を上手く抽象化して使いやすいUI/UXに落とし込むことができれば、世の中の多くのスモールビジネスの販売管理が加速的に良くなっていくと思いました。

複数チームでの共同開発

野村:開発は大阪・沖縄チームの他、東京の会計チーム、基盤チームと一体となって進めました。freee会計と自然に繋がりシームレスな業務を実現できるというのがfreee販売の重要な提供価値なのですが、これは会計チームの協力なしには実現できませんでした。また、今回の開発では今後freee全体で利用することになる基盤を構築しつつ、販売をその基盤に乗せるという難易度の高いプロジェクトだったのですが、基盤チームが参画してくれたおかげでfreee販売にフィットしつつ汎用性の高い基盤を作ることができました。いずれも組織上の部署は違いましたが、1チーム体制で開発を進めました。さまざまな得意分野を持つ方々が一つの目的のために集まって、いいプロダクトを生み出すために切磋琢磨することができたおかげで、無事リリースを果たすことができました。

「freee販売がなくなったら困る」というユーザーの声

野村:先日のユーザーインタビューで「freee販売がなくなったら困る」というフィードバックをもらい、作っているものに価値があることを実感できて一安心しているところです。プロダクトを開発している段階はあくまでも仮説の段階です。プロダクトを世に出してユーザーに触ってもらうまでは、”全然売れないんじゃないか”、”ユーザーに響かないんじゃないか”といったさまざまな不安がよぎるので、このフィードバックはとても心に響きました。リリースした今も、フィルターも通さない生の情報を取りに行くことが重要だと考えています。よりよいプロダクトづくりにつなげるために、意識的にユーザーインタビューに参加するようにしています。

販売管理のあり方そのものを変えるような発想を

野村:まずはユーザーが業務を回していくために必要な機能をfreee販売で実現することが最優先ではありますが、そもそもの販売管理のあり方を変えるようなことにもチャレンジしていきたいと思っています。freee販売は、案件単位で収支をかんたんに把握できたり、freee会計とシームレスに繋がって転記が不要になっていたりと一定便利なプロダクトにはなっていますが、世の中にすでにある販売管理システムが解決できていない問題を解決しているとは言えません。既存の業務をシステムに置き換えることで作業を効率化するという発想だけでなく、新しいやり方や概念を世の中に提案していくという発想も必要です。根本的に業務を変える、業務をなくすことで、世の中全体の無駄や手間を省いていく、そういう発想でプロダクトを成長させていきたいと思っています。

失注受注という関係を超えたユーザーとの関わり

販売プロセス

2022年7月、限定ユーザーによるアルファ版のテスト利用が開始。そのタイミングで本格的な営業体制を整えるべく、セールス担当として中村が参画。その後、順次セールスメンバーを採用し、チームが結成される。
プロダクトリリース前には、ユーザーインタビューから価値の言語化と提案資料作成、セールス組織構築とオペレーション構築などを実施。2022年11月のリリース以降は、お客さまへの提案に合わせて、マーケットの声を開発チームへ届けることで、より良いプロダクト作りにも関与している。2023年現在、更なる営業体制の強化に向けて、セールスメンバーの採用を行っている。

freee販売セールスマネージャー中村の写真

お客さまとの会話で芽生えた販売管理への興味

中村:freeeに入社してから1年間、インサイドセールスをやっていました。インサイドセールスの特徴として、freeeを検討していない人や知らないお客さま、つまり市場感に近い人と話す機会を多く得ることができます。その中で、本当は会計システムを載せ換えたいと思っているが業務フローや基幹システムの問題で実行できないお客さまがたくさんいることを知って、freeeで何かしたいと思っていました。社内でfreee販売の開発が進んでいることは知っていたので、これらインサイドセールスの時の経験から、販売管理に関われたらおもしろそうだと思っていました。元々色々なことにチャレンジしたいと伝えていたこともあり、2022年7月からfreee販売のセールスチーム立ち上げに関わることが決定しました。

ただ売るだけではない、プロダクトマネージャーとしての視座

中村:今は、freee販売のセールスが一番面白いです。新規プロダクトのセールスという観点では、状況が刻一刻と変わるので型がないし、正解もありません。これらを形作っていくところ、それが面白さでもあり、難しさでもあります。新規事業のセールスはただ売るだけではなく、いわばプロダクトマネージャーとしての役割も担っています。具体的にどのような価値を届けることができるのかを掘り下げ、理解していく。そうやってプロダクトを育てながら販売します。ユーザーと一緒に市場を作っていく感覚があって、お客さまと話していても、”freeeでこういう世界が作れたらいいよね”という期待感をひしひしと感じています。そんな期待に応えたいという思いが強くあります。失注や受注、そういう世界じゃなく、お客さまと接していきたいと思っています。

経験のない新規事業での歯痒さ

中村:新卒2年目を迎えたばかりで全く経験がない中で苦労したのは、意思決定でした。何を判断軸とすれば良いのか分からず、スピーディに判断を下せない自分にとても歯痒さを感じました。しかし、持ち前の巻き込み力を生かして、分からないことは何でも周囲に聞きながら進めていきました。
その後、2022年10月からは、セールスマネジメントにも関与することになりました。私の意思決定がチーム全体に影響するため生半可に進められない責任を感じています。いまは俯瞰してマーケットを捉え、先手で意思決定していくことにチャレンジしています。また、想定していた以上にチームが拡大しているため、引き続き複数名のマネジメントやチーム作りも頑張っていきたいです。